「力の支配」ではなく、「法の支配」の再興に向けて力を尽くすことを呼びかける(2026.1.15.)
京都憲法会議は、1月3日のトランプ米政権によるベネズエラ攻撃に関して、上記のアピールを出しました。
「力の支配」ではなく、「法の支配」の再興に向けて力を尽くすことを呼びかける(アピール)
2026 年1 月3 日、トランプ米政権はベネズエラの首都カラカスを攻撃し、同国のマドゥロ大統領夫妻を拘束、米ニューヨークに連行した。今回の軍事攻撃で多くの民間人も犠牲になっていることを忘れてはならない。またこれは自衛権の行使とはいえず、国連安全保障理事会決議に基づいたものでもない。武力行使を禁ずる国連憲章2
条4 項の明白な違反であり、国家主権の侵害である。さらにトランプ大統領は、メキシコやコロンビアへの攻撃も示唆しているが、これも国連憲章2 条4項の禁ずる武力による威嚇にあたる。
トランプ大統領は、米紙ニューヨークタイムズのインタビューに「私に国際法は必要ない」と述べている。恐るべき「独裁者」が出現したというしかない。同時に、歴史の流れに逆行し、暴力のはびこる、無秩序な世界へと向かうことを強く危惧する。現実に、トランプ政権の動きは、麻薬取り締まりを入り口にしながらも、ベネズエラの原油利権を奪い取ろうとしていることを隠そうとしていない。トランプ大統領は、中南米諸国をかつて米国の「勢力圏」とみなしていたモンロー主義になぞらえ「ドンロー主義」を提唱するが、「力の論理」のまかり通る帝国主義の時代に舞い戻らせては、絶対にならない。
1 月5 日に緊急会合を開いた国連安全保障理事会では、米国の行為を国際法違反だと非難する声が相次いだ。だが、日本の高市首相は、現時点において「情勢の安定化に向けた外交努力を進める」と述べるにとどめ、木原官房長官は「わが国は直接の当事国ではない」と評価を避けている。日本政府はこれまで、「自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値や国際法に基づく国際秩序を維持・擁護する」(たとえば、2022
年12月「国家安全保障戦略」)との立場から、たとえば、ロシアによるウクライナ侵略を「力による一方的な現状変更」で、「武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反であり、国連憲章の重大な違反」だと厳しく批判してきた(2022
年2 月24 日、外務大臣談話)。また、中国による東シナ海及び南シナ海を不安定化させる活動に対しても、「力による一方的な現状変更の試み」だとして、強い反対を表明してきた(2025
年11 月1 日、日米豪比国防相共同発表)。いま、日本政府の姿勢が厳しく問われている。あれだけ重視してきた「法の支配」が侵されているにもかかわらず、毅然とした態度どころか、何もいわずに黙認している。この姿勢こそ、「対米追随」といわざるを得ない。
私たちは、訴えたい。第一に、高市政権に今回の米国の暴挙を毅然と批判し、「法の支配」の再興に向け、最大限の力を尽くすことを求めたい。第二に、日本政府は、拡大抑止(核の傘)にしがみつく「日米同盟」のもと、トランプ政権の意向もあって来年度9
兆円を超える軍事費を計上し、防衛特別所得税の創設も目論んでいる。だが、このようなトランプ政権への追随でいいのか。また、これまでも日本は「日米同盟」を強靭なものにする方向で「思いやり予算」や「辺野古新基地建設費」など米軍に巨額を投じてきた。だがこれらは、米国の「力の支配」を支えることにならないか。そもそも「日米同盟」を絶対視することでよいのか、根本的に再考すべきである。第三に、トランプ政権の暴挙を許さない市民が声をあげ、米国の市民を含む圧倒的な国際世論をつくりあげることを呼びかけたい。
私たち京都憲法会議は、平和憲法を守り生かす見地から、軍事に依拠することなく、「法の支配」の再興に向け、全力をあげて取り組むことをここに表明する。
2026 年1 月15 日 京都憲法会議(憲法改悪阻止京都各界連絡会議)